2019/02/21 20:46
本日は 皮(原料)の種類について お話していきます
父が よく話していました
革は 「原料を 重さで買って 面積で 売るんだ」 と
もちろん取引上 小分けであれば枚数で購入しますが 皮(原料)は 毛が付いている生の状態では 個体差に見合う単価がつけられないため 唯一図れる 重さ を 基準としました
一般に 成牛の原皮(成牛皮)や馬皮など25ポンド以上ある 厚くて大きく重い皮を ハイド(hide)と呼びます
中・子牛皮や羊皮などのように薄くて小さく軽い皮を スキン(skin)と区別しています
重さの他に 性別や 年齢などで分ける 呼び名があります
最も流通しているものは
ステア(ハイド):生後3~6か月以内に去勢したオス牛で 2年以上飼育した成牛
⇒ 生産量が一番多く 厚くて面積が大きい皮なので 汎用性が高い(靴 カバン 家具など)
⇒ 私見☆日本の牛よりも急激に太らせている原皮なので 皮が伸びている分 軟らかいタッチを必要としている用途に向く 肌目は粗い
カウ(ハイド):生後2年以上のメスの成牛 乳牛はデイリー カウと言いステアに次いで利用されている
⇒ ステアよりもきめが細かく 薄い (衣料 手袋など)
キップ(スキン):生後6か月~2年程度の中牛皮
⇒ キメが細かい カーフよりは大きい分 厚みと強度は上回る (高級靴 バッグなど)
⇒ 私見☆キメが細かく肌目がきれいで感触がソフトなので 高級ラインに向くが 野球グラブにしたときに丈夫かと言われたら もともとそこまでは丈夫ではないので 強度を意識して作る必要がある 最近ではオーバーキップと言って大判のものが出回り 肌目がやや粗いものもある
カーフ(スキン):生後6か月くらいの若い子牛皮
⇒ 薄手でキメが細かく牛皮中トップクラスの素材 (婦人靴 衣料 手袋などの高級素材)
地生 :国内産の成牛皮 生皮のままで取引されることから地生(じなま)と呼ばれる
⇒ 焼印がほぼなく 大判 (衣料 家具用など) ホルスと一毛に区分される
⇒ 私見☆弊社では地生と言えば 一毛→黒毛和牛を使っているが お肉になるためにしっかり育てられているので吟面が丈夫 近年刺しのある肉を高級肉だとされているので むしろ革づくりには脂を抜く作業のコントロールが難しくなっている 肌目は飼育期間が長い分粗く 厚みは成牛でもステアより薄い 一方 ホルスは乳牛なので繊維がルーズ ホルスを和牛とうたう人もいるが肉の定義では間違えだし 繊維の状態もルーズでその差は激しい
以上 小判の原料ほど 肌目の良さから高級な材料となっていますが 目的や用途を聞き 原皮のメリットを最大限に引き出し デメリットをカバーすることが タンナーの腕の見せ所です
今日は 原料皮(原皮)の基礎知識を 記しました
平成31年2月21日 株式会社ジュテル・レザー 沼田真美子